妖しく広がる、乱れ髪。 静謐な光の中、次第に荒がる声音と、息づかい。 そして、白々とした薄暗がりに色付き始めた肢体が浮かび上がってくる。 「…ぅ……ぅ…ん…」 無骨な十の指が、豊かな胸を優しく揉みしだく。 膨らみの真ん中で震えるものを口に含み、舌でたっぷりと味わう。舐める度、吸う度に、クンと緊張の度合いを増す滑らかな肌。 「…ぁっ…ぁぁ…」 小さな声と共に、何度も首が横に振られ、その都度、黒髪が新たな波を作り出す。 ワッカの片方の手が、柔らかなラインを描く腰から太腿へと滑り降り撫でていくと、ルールーは無意識に両足を強く閉じ合わせようとする。無理に開かせるのはすぐに諦め、そっと手を両の足の間に隠された場所へと滑り込ませた。 「…っ、ぁっ…」 「ルー…」 ひくっと一瞬震えた身体を宥めるように、唇を固くしこった突起から胸・首筋へと移動させる。薄赤い花を散らせながら。開きっぱなしになっているルールーの唇へと到達するや否や、堪らないとばかりにワッカは激しく口付け、舌を暴れさせた。募るように求められ、ルールーも彷徨っていた両手をワッカの首へと回し強く抱きしめ、口付けに酔っていった。 時を逃さず、無意識に緩んだ両足の間の奥へと指が差し入れられる。既に熱い滴りに満たされたそこは、スルリと抵抗なく受け入れる。経験はなくとも熟れた身体は、違和感と快感がない混ぜになり、より一層強く縋りつく格好になってしまう。 長い口付けが終わった時には、ワッカの指はルールーの身体の奥に馴染んで、じっくりと脈打つ内壁のしめやかさを感じていた。もうその頃には、溢れんほどに熱い泉が湧き出してきている。そして、それは…ワッカも同様だった。 「そろそろ、いいか…?」 ワッカの問いかけに、荒い息を継ぐルールーが小さい声をあげる。 「…ぇ、あ、っ…」 反射的に閉ざされようとする白き両の足をグイと力任せに開き、既に痛いほどに固くそそり立つものをその間にあてがう。足が強く挟み込んでくるのとは逆に、両手を使い上へと逃げようとするルールーの身体を無理やり押し留め、ワッカは逸る気持ちを抑えながらゆっくりと腰を進めていった。しっとりと温かく湿った感触がワッカの肉塊の先端から包み込んでいく。 「い・いくぞ…ルー」 「…ぃ…ゃぁ…」 自分の中に熱い塊が入りこんでくる恐怖からか、ルールーは激しく首を振りワッカの肩を強く押しやろうとしている。けれど、もう止めることなどできはしない…。それは、ルールーも充分わかっていること。 きつく強い抵抗のある場所へと、ワッカはめり込ませるように体重をかける。ワッカとて、それほど経験があるわけではない。もうここまでくるとルールーのことを思いやる余裕などなくなっていた。 「あああぁぁぁっっ、……ゃぁっ……やっ…め…わっ…かぁ」 引き裂かれるような激痛がルールーを襲う。訳も分からず、首を髪を振り乱し必死で自分からワッカの身体を引き剥がそうとする。しかし、ワッカも懸命に痛みをこらえて、ルールーの奥へと自分の一部を押しやっていった。 「うっ…つっ!」 次第に痛みと衝撃が薄れてくる。 先に我に返ったのはワッカだった。息は荒いままだったが、夢中だった時が過ぎ、やっとルールーのことへと意識が向いた。 「ルー。 大丈夫か?」 見ると、ルールーが痛さを堪えるためにひそめていた眉目をゆっくりとほどきながら、苦しそうな息を継ぎながら微笑んできた。 「だ…いじょうぶ、に決まってるでしょう。 ほんとに、あん…たって…」 生理的に流された涙にまみれてさえ強がろうとするルールーが、とてつもなく愛しくて。 しっかりと深く繋がったまま、ワッカはルールーを強く強く抱きしめる。 「ルー、ルー!」 「はぅっ、…ん……ワッ…カ…」 力の入らない細い腕がワッカの背中に回される。そんなわずかな動きでも、生み出されたルールーの身体の奥の緩やかな波が、ワッカの敏感な部分へと伝わり快感となって、ワッカの全身へと染み渡っていった。 あまりの心地よさに、ワッカが思わずうわずった声を漏らす。 「ルー…。 俺ぁ、溶けっちまいそうだ…」 「……馬鹿…」 鼻にかかった小さな呟きと共に、背中の腕にキュッと力が込められる。 そして……。 ワッカが一旦収めたものをゆっくりと抜き出し、再度深く突き刺した。繰り返し、何度も。次第に早く激しく…。 「…ぅっ、…はっ…くっ…ぁああっ…」 ワッカと違い、快感よりも痛みが勝るであろうルールーは、ずっと眉を寄せ辛そうな声をあげてはいたが、もうワッカの身体を押しのけようとはしなかった。痛みを伴おうとも、今、身体も心も満たされているという幸福感の方が遥かに強かった。 黙々と腰を揺らし快楽を追い続けることに熱中しているワッカは気づかなかった。ルールーの涙が、痛みや辛さから流れるものから、次第に幸せに酔って流されるものに変わっていったということに・・・。 ワッカの動きが一層激しいものになった。それにつられてルールーも、少しばかりの快感以上の疼痛も増してくる。 「…ぁぅっ…っ…ふっ……あっ、やっ…」 「ルー、ルーっ! うぅっ!」 ドクン、と。 その瞬間、大きな圧迫感がルールーの内部で破裂した。ワッカの頭の中が真っ白になった。ルールーも意識が遠のきそうになる。 汗にまみれ、大きく息を吐きながら、ワッカがルールーの上へと崩れ落ちた。同じように汗をまとったルールーが、ワッカを愛しげに抱きとめる。少し脇へと位置をずらして、静かに身体を離し、二人ともしばらくそのままで余韻に浸りながら思いを巡らせていた。 身体は別々になっても、行きつく想いは……一つだった。 お互いに、相手の向こうにずっと見守ってくれているであろう存在のことも、見る。 だからこそ、この人を大切にしたい、と。 「なぁ、ルー…」 「…なに?」 しばらくして、ワッカがボソリと低く呟いた。 「俺ぁ、今、スピラ一のしあわせモンだ。」 一呼吸置いて。 「…そうね。 私も…よ」 気だるさを滲ませながらも、深みのあるアルトの声が、そう応えた。 ―― まだ、やらなければならないことがある ―― けれど、今夜のことは忘れない ―― このしあわせを…ずっと失わないように ―― このしあわせが、みんなにも訪れるように ―― きっと、ユウナにも… ―― かならず…! - end - |