〜 【Relational Novel】 〜
◇◆◇FINAL CRYSTAL◇◆◇

エピソード7<FFX>





− Yellow in the Sun −




それは何時の間にかリュックの傍らにあった

何も伝えようとせずに
ただ彼女の傍らで、
見守るかのように佇んでいる

色は、橙
ただ暖かく、
見守っている



ビサイド島の浜辺には南国独特の香りがたちこめる
強い日差しも
とめどない波の音も
響く鳥の声も
吹きぬける風も
どこか懐かしく、愛しいのに、
今リュックは 全てを断ち切っていた
蹲るように足を抱え
そこに頭を沈めている

思考の奥にしまいこんでいた、
暗く哀しい闇の中へと
自らを追い込む



世界は平和になった
『シン』の居ない世界
スピラ中が望んだ世界
数え切れないくらい大切なものを失って
その代償に、
言い表せないくらい大切なものを貰った

長かった、旅
ユウナを死なせたくない
ただその一心だった

仲間たちも皆、
彼等なりに考えた
思考を隠さずに居られない者も
気持ちの内で葛藤する者も
皆、それぞれに闘った

その中でも一際、
行く道いつも明るく照らしていてくれた仲間が居た

それは、太陽のように笑い
それは、太陽のように激しく
それは、太陽のように輝いて、

開戦と共に水平線より現れ、
闘う仲間を照らし続け
終戦と共に水平線へと消えた

それは、太陽のように



そして願いは叶い、
ユウナは死ぬことなく
『シン』は永遠に甦ることなく、
世界は平和になった

けれど

もう太陽は、居ない



太陽を失った仲間たちに、
平和など来る筈が無かった
皆、どこかに自責の念を感じ
罪悪感を胸に秘めながらも、
暗闇の中を
次へ進もうと必死に足掻く

リュックも例外ではなく
度々この浜辺に来ては、
到底辿りつけそうも無い答を
手探りで探す



「わかんないよ…」



震える声
思わず涙が溢れた

誰にも見せられない、涙
こみあげてきても必死で押し殺して
あれからは、独りで闘ってきた

だけど、もう
行き場の無い心は
途方に暮れたあげく
涙となって
意思も遮り、溢れた


そのとき

健気な少女の心を
橙の光が包んだ



リュックはゆっくりと顔を上げると
一瞬眩しさに目をくらました

暖かな橙の光は色を変え
淡く優しい黄の光になる

恐る恐る片腕を伸ばして、
リュックは正面にあるその輝きに手のひらで触れた



意思が、伝わる



『ユウナの笑顔を、守りたいんだ』



それはその光の意思ではなく
リュックの記憶にあった言葉



――――――――ああ…そっか…

「あたしが…
 皆の笑顔を、ユウナの笑顔を、守ればいいのね…?」



朝日が、夜の闇を追い出していくかのように



「なれるかな…あたしも…っ…キミみたいに、
 太陽みたいに、皆を照らす事が、出来るかなぁ…っ…」



触れた手のひらを通じて来るかのように
優しい気持ちが 心を包みこんでゆく

励ましているかのように
導いているかのように
優しく心に、行き渡る

リュックは静かに頷くと、
もう片方の腕もめいいっぱい伸ばして
今度は自分が包みこむように、
淡い黄の光を抱きしめた



「ありがとう……もう、大丈夫」



涙に濡れながらも
リュックは微笑んでいた

負けないくらいに輝いて
皆を照らして 導いて

キミの一番守りたかったものを
キミの代わりには、ならないかもしれないけれど

守ってみせる



光はリュックの包みこむ中へと消え去り
もう二度とその輝きを現さなかった
だけど、
それが遺したものはきっと、
もっともっと輝いて、

あたらしい太陽となるに違いない





エピソード7 FIN.





淡く、優しく、包みこむ


それは、太陽のように


至高の輝きを得て、その光は


様々な次元を巡り


様々な心をも巡った、クリスタルは


また、旅立つ




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