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〜 FF NOVEL <FFVII> 〜
by テオ


<<HONEY MORNING>>


明るい朝の光が部屋を満たしている。
コンコン。
ツォンは申し訳程度のノックのあと、カチャッと
ドアを開けて、ルーファスの部屋に入った。
時間にうるさいくせに寝起きの悪い彼を起こすのは、
彼の日課だ。
寝起きのルーファスを知っている者は、絶対に
彼に近づこうともしないだろう。
もっとも、実際に知っているのは、今のところ約一名だけだが。

ツォンはいつものようにルーファスの枕もとに近づくと、
穏やかに声をかける。
「ルーファス様、お目覚め下さい。」
返事は、ない。
これもいつものこと。
「ルーファス様。」
今度は少し、声に力をこめながら、ツォンはそっと手をのばす。
ルーファスの柔らかいブロンドに優しく指を絡めながら、
もう片方の手でその白皙の美貌の頬にふれる。

「んっ」
やっと、ルーファスが身じろいだ。
わずかに目を細めながら、ツォンは再び声をかける。
「ルーファス様。お時間です。」
ルーファスが気だるげに答える。
「ん、ああ、ツォンか。」
未だ半覚醒の瞳で、ツォンを見上げるルーファス。

・・・!
これもいつものことながら、朝っぱらから
そんな色っぽい瞳で見ないで欲しい・・。
甘い辛さを、ため息に隠す。

「ルーファス様。このところのお忙しさで、お疲れなのはわかりますが、
まだ就任したての社長自らが時間に遅れては、皆にしめしがつきません。」
ツォンがまるでさとすように言うと、ルーファスは一瞬目を見開き、
ムッと口をへの字に結ぶ。
その時のツォンの穏やかならぬ心うちもまるで気づかぬように、ルーファスは
「起きる。」と言うと同時に、乱暴に、しかしあくまで優雅に、
寝具をはねのけてベッドをおりる。
そして、先ほどまでの寝ぼけようがウソのように、
てきぱきと身支度を整えていく。むきになって・・・。
まるで、お前の手助けなんか必要ないぞといわんばかりのその様子に、
つい、こらえきれずツォンの顔が緩む。

シャツの胸元を直すためにうつむいているルーファスの後ろから、
ツォンはそっと抱きしめる。
「まったく貴方は、どうしてそう・・・」
その続きは、語られなかった。
言葉を紡ぐべきくちびるが、目の前の愛しいそれに
吸い寄せられるように重なってしまったから・・・。

Fin.


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