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〜 FF NOVEL <FFX> 〜
by テオ


”夢”を見る夢





 ”夢”がね、あったんだ。
 ううん。
 今でもやっぱり”夢”見てる。
 ね、聞いてくれる?

 ビサイド村にね、父さんがいるんだ。
 私がまだ小さい頃の思い出のままの。
 それからジェクトさんもアーロンさんも。
 それにね、キマリも。
 ワッカさんとルールーと、赤ちゃんもいて。
 えへっ、私、もうずっと前からこの二人が結婚するといいなぁって。
 そう思ってたから。
 みんなで、笑いながら暮らしてるんだ。

 それから…。
 毎日じゃなくても、時々、シドさん連れたリュックも来てくれるんだ。
 ……母さんは……さすがにね、もうよく覚えてないから…。
 夢、見たくても、スフィアさえももう、残ってないから……。

 そして……。
 ……それからね!
 その”夢”にはね、絶対、キミも……いるんだよ。
 キミがいないと……。
 私の”夢”は………完成しないんだ。
 もう、そうなっちゃったんだよ…。

 うん…。
 うん、わかってる。わかってるんだ…。
 いくつかはもう、適わない”夢”なんだって。
 夢に過ぎない”夢”だって……。
 もしかしたら、未来になるかもしれない”夢”との違い…。
 父さんたちのことは……本当に”夢”。
 ジェクトさんも、もうアーロンさんも、ね。

 だけど……。
 だけどっ! キミはっ! キミのことだけは…。
 ”夢”に、したくない……。
 ”夢”のまま、終わらせたくない。
 私の我がまま、それこそ”夢”かもしれないけど。
 終わらせたくない。
 終われない、んだ……。

 ね、ティーダ…。






 オレは今、夢を見てる。
 今のオレは、夢を見ることしかできないから。
 オレの夢は……。

 ザナルカンドにさ。
 ユウナがいるんだ。
 オレ、ブリッツの試合やってて。
 それを、ユウナが応援してくれてる。

 オレ、”夢”だったんだよな。
 ザナルカンド・エイブスでエースとして活躍してるオレを。
 ユウナに見せてやるって。

 いつか……ユウナに話したことあったろ?
 試合が終わってから、海見に行こうってさ。
 薔薇色に染まった、ザナルカンドの朝焼けの海を一緒に見ようって。
 ”夢”……なんだよな…。
 オレの。

 オレの見てる夢には、オヤジもいるんだ。
 母さんもアーロンも、もちろんユウナの親父さんもだ。
 そんでさ。
 なんでか、ワッカやルールーやキマリ、リュックもいるんだ!
 笑っちゃうだろ?
 …………楽しかったから、なんだろうな…。
 始めは訳わかんなくて、とまどってばかりだったけど。
 うん、オレは楽しかったんだ。
 ユウナやみんなと旅ができて…。
 そりゃ、つらくなかった、って言えばウソになるけどさ。
 でも……楽しかった。
 うん! とても!

 だけど。
 オレの夢は……すぐ消えるんだ……。
 そして、またすぐに、別の夢を…見る。

 けど……。
 けどさっ!
 どんな夢見ても…。
 いつも…………ユウナだけは、いるんだ……。
 必ず、いるんだ……ユウナが。

 オレは、もう、夢を見ることしかできないけど。
 せめて、夢の中でだけは。
 ユウナを見つめ続けていたいから……。
 …………一緒にいたいから。
 それが、オレの”夢”だから。
 それくらいは、いいよな…。

 な、ユウナ…。








○あとがき○
今回は、詩です。POEMです。ポエム。(しつこい)
以前にも何度か書いたことのあるパターンですが…。
ユウナとティーダの、それぞれの語りの詩。夢。
時期は、読まれればたぶんお分かりかと思いますが、XとX-2の間「永遠のナギ節」のDVDより前になりますね。

「夢」という言葉に寄せて、二人の心情を綴ってみました。
本当に眠りながら見る夢と、憧れ・希望としての”夢”と。
ユウナの場合は後者の”夢”の、ティーダの場合は前者の夢の、という感じが強くなる、かな?

これは99999のキリ番を踏んで下さったお二人、ぽこぺんさんとにじますさんに進呈します。(そのつもりで、ティーダとユウナの二人分の語りになってます。短いっスけどね…(汗))
管理人厳選、とあったのに短い作品で申し訳ないのですが…。(でも、作者的にはこれ結構気に入ってるので)



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