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〜 FF NOVEL <FFX> 〜
by テオ


祈りのしずく 【FFX After Ending Story】 Side 6

〜〜 ユウナ 心の旅 〜〜





Side 6  【 解  曉 】






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夢が終われば おまえも消える・・・

スピラの海に 空に 溶けていくだろう・・・

でも 嘆かないでおくれ・・・

でも 怒らないでおくれ・・・

我らとて 元は人だから・・・

夢を見ずには いられない・・・

新たなる 夢の世界に 海を作ろう・・・

おまえが泳ぐ 海を作ろう・・・





∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞





シドは、ガガゼト山の山頂の少し手前にユウナたちを降ろした。
山頂は岩が入り組んでいるため、飛空艇はあまり近づけない。
一旦、山の麓に着陸して、整備をした後、
頃合を見計らって迎えに来るとシドは言い、飛空艇は離れていった。


そこは、ユウナが初めてザナルカンドを見た場所だった。


初めて見るザナルカンドに食い入るように見入っていたユウナ。

そして、隣には、彼がいた・・・。

彼は自分の目的地でもあったはずのザナルカンドよりも
ずっとユウナを見ていた。

あの時、ユウナは自分のことで頭がいっぱいだった。

どんな思いで見ていたのだろう・・・。

いつ、自分の運命のことを知ったのだろう・・・。

始めは、何も知らなかった、彼。
何も知らないが故の明るさに、幾度救われたことだろう。
でもその明るさは、自分の行く末を知っていたはずの最後まで、
全く変わらなかった。

前と同じ場所にたたずみながら、ユウナは語りかけるようにささやく。

「ほんとに強かったのは、君だったんだね・・・」


遠巻きに見守っていた仲間たちに頷きかけて、
ユウナはいよいよ山頂へと向かった。



数え切れない程の祈り子さまたちが眠っていたところ。

今は、みな、石像となり、安らかに永遠の眠りについているはず。


あの日、確かに感じられた祈り子たちの気配は、完全に消えていた。
今はただ、延々と続く石の壁がそこにあるだけだった。

ユウナは、ひとつ、ひとつ、石像となった祈り子たちを眼で追いながら、
先に進んでいった。

そして、視界が開けるその場所には・・・・・。


「・・・・っ!!!」

声にならない悲鳴をあげるユウナ。


わかっていた。


わかっていたつもりだった。


でも、現実にその事実を眼にするまで、
ほんとうの意味でわかってはいなかった。


そこにあったはずの、巨大な水の球体。
さながら龍が天に昇るがごとく、浄気を帯びて勇壮にそびえ立っていた水の塔。


・・・今は、・・・・・無い。


そこには、ただ小さな泉がキラキラと揺らめいているだけだ。

「・・やっぱり・・・ここだったんだね・・・」

1000年前に滅んだザナルカンドの人たちが、
祈り子となって召喚していたもの。

『エボン=ジュ』が『シン』という鎧をまとってまで、
守ってきた、もの。

1000年もの間、そこに存在しつづけていた・・・。


「・・・ザナルカンドの夢」


「・・・キミは・・・ そこから来たんだね・・・」


何故とか、どうしてとか、そんなことは解らない。

おそらく、ここで初めて彼は自分の本当の存在の意味を知ったのだろう。
前触れもなくいきなり昏倒した、あの時に。

ユウナは自然にそう思えた。

だからこそ、ここまできたのだ。


事実を事実として受け止めるために。


真実を見極めるために。




そして、そこから新たな一歩を踏み出すために・・・。






To be continued.



<<冒頭:“シヴァ”>>



■作者からのメッセージ
「起承転結」の「転」が終わり、やっと次回から「結」の展開になります。
ここまで来るのが長かったこと・・・。ほとんど心理描写のみで書くという初めての試みだったもので。(途中、そうでもないトコもありましたが・・。ポリポリ)

さて、次からお待ちかね(?)のクライマックスに突入です。でも、まだユウナの心の旅は続くんだな、これが。

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