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〜 FF NOVEL <FFX> 〜
by テオ


祈りのしずく 【FFX After Ending Story】 Side 5

〜〜 ユウナ 心の旅 〜〜





Side 5  【 焦  燥 】






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我らは長らく忘れていた

前に進むということを・・・

そなたのおかげで思い出した・・・

そうだ 我らは走らねばならぬ・・・

ゆこう 同じ夢を見る友よ・・・

そなたを乗せて 夢の終わりへと走ろう・・・





∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞





ザナルカンドが近づいていた。

さすがに飛空艇だ。
徒歩で長い時間をかけて旅した距離も、あっという間に着いてしまう。
目的地が近づくにつれ、
ユウナは膨れ上がってくる胸の不安を抑えられなくなっていた。
今も立っているのがやっとという風情だ。

そんなユウナの痛々しい様子に、
ガードの皆も心を痛めていた。
しかし、今のユウナにはとても声をかけられそうもない。
そうすれば、きっとユウナはもっと無理をしてしまう。
遠巻きに見守っていることしかできない自分に

ガードたちは苛立っていた。


「なあ、ルールー」
「なによ」

ユウナに聞こえないように気を使いながら話しかけてきたワッカに
間髪入れずに答えてきたルールーの態度は冷たい。

さすがのルールーも何もできない現況に、イライラしていた。
ワッカのいかにも能天気な口調に、ついあたってしまう。
それでもワッカはめげずに、話を続けた。

「ユウナは、いったいザナルカンドに何しに行くんだ?」

「!!!」

ついに、ルールーは切れた!

「そんなの私にわかる訳ないでしょっ!」

この鈍感極まりない男にそう怒鳴りつけながら、ルールーは、さっさとその場を離れた。


 それが解らないから、みんなこうして心配してるんじゃないの
    おそらく、あの子に関することなんだろうけど
ユウナはそれを聞かれるのを怖がってる
    だから、聞けない
 こうして見ていることしかできない


自分への腹立たしさをワッカへの怒りに変えて、
やっぱりぶん殴ってやれば良かったかしらとこぶしをにぎるルールーだった。


一方、ワッカはなんで怒鳴られたのか、さっぱり解らなかった。
「そんな 怒んなくたって、なあ・・?」
と、同意を求めるように近くにいたキマリを見上げたが、
やはり、冷たく一瞥されただけだった。

そんな寒風吹きすさぶ空気のガード仲間をよそに
リュックは忙しそうにとシドやアニキの手伝いに勤しんでいた。


   はぁぁ〜 あたし、やることあって良かったぁ
  もう少しで、あたしもおんなじこと聞いちゃうとこだったもんね
 暇だと つい 余計なことまで考えちゃうんだよねー


朱いとんがりあたまをポリポリと掻きながら、
一人、しょんぼりと所在なさげにたたずむ、哀れなワッカだった・・・。





「おーっし! ザナルカンドに着いたぞ」

シドが、大声で皆に知らせた。
艦橋にいた者たちは、その声に近くに集まってくる。
シドは、おもむろに振り向いてユウナに尋ねた。

「で、ユウナ どの辺に着陸すりゃいいんだ?」

シドの問いかけに、ユウナは一呼吸おいて答えた。

「・・できれば、・・・ガガゼト山の山頂近くに」

シドは驚いて、思わず聞き返した。


「山頂だぁ〜?」

真摯な瞳でユウナは頷く。

「はい」


到着と聞いて再び艦橋に戻ってきていたルールーも含めたガードたちも
本当の目的地を聞いて驚きの表情を隠せないでいた。

ほんの少し眉根を寄せて、シドが困惑気味に答える。

「そりゃ、ガガゼトはザナルカンドのすぐ隣だしよ
 だが、山頂となるとなあ・・・」


「無理、ですか?」


不安でいっぱいの顔のユウナを見て、迷わずシドは心を決めた。


「いや、ちと難しいがなんとかなるだろう
 山頂のギリギリ上空で止めてやるから、そっから降りな」


「はい!ありがとうございます」

嬉しそうに、だが、一目でカラ元気だとわかる笑顔で礼を言うユウナに
シドは精一杯、応援の声を投げかける。

「おう!すぐだから、みんな甲板に出て準備しとけや」

着陸準備のため慌ただしくなってきた艦橋を後にして、
ユウナたち5人は甲板に上がっていった。


その時には、もうそこにいるみんなには解っていた。



ユウナが何のために、ここに来たのか、を。





・・・そう・・・


・・・・夢の終わりを見届けるために・・・・。







To be continued.



<<冒頭:“イクシオン”>>



■作者からのメッセージ
なんか、まわりくどいっすねぇ。でも、やっと核心部分に入ってきました。
ここからがほんとに書きたかったとこなんで、これからはもう少し展開が早くなると思います。

次回から、いよいよユウナの「彼」への想いを綴ります。(って、また、心理描写かよ・・・)

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