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〜 FF NOVEL <FFX> 〜
by テオ


祈りのしずく 【FFX After Ending Story】 Side 4

〜〜 ユウナ 心の旅 〜〜





Side 4  【 逡  巡 】






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先の『シン』は ザナルカンドの海を泳いだ

夢の世界が『シン』を癒したのかもしれぬ・・・

おまえの父は その『シン』に触れたのだ

一夜で真実となり スピラの海に現れた

しかし 彼は今 悲劇の螺旋に囚われ

『シン』と化して さまよっている・・・





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甲板から飛空艇の艦橋に戻ってきたユウナを
仲間たちが待っていた。
それぞれの思いをその胸の内に抱きながらも
ユウナを気遣い、誰も何も言わない。
みんなのその気持ちが、ユウナに痛いほど伝わってきた。

一度、その瞳と組み合わせた両手に力を込めてから、
くっと顔を上げてユウナは言った。

「みんな、私のわがままに付き合ってくれて、ありがと」

皆の顔に安堵の表情が浮かぶ。

「んな、みずくせーこと言わなくても・・・」

とんがり頭を掻きながら照れているワッカを押しのけて、
傍に寄ってきたルールーが、ユウナの肩を軽く撫でながら、
安心させるように微笑む。

「ユウナはそんなこと気にしなくていいの 『シン』がいなくなっても
 私たちはずっとユウナのガードなんだから」

押しのけられて、よたっていたワッカも体勢を立て直し、
何事もなかったように腕組みしながら、したり顔で頷く。

「そうさュゥ・・・」
「ユウナはこれからもキマリが守る ユウナの行くところがキマリの行くところだ」

ワッカが喋ろうとした途端、またもやキマリが悠然と割り込んだ。
自分のセリフを二度も遮られて、
ワッカは小さく「チッ」と毒づいて、
子供のように後ろを向いてすね始めた。

ワッカのその様子に、
ユウナは思わず「ふふっ」と笑ってしまった。
以前とまったく変わらない仲間たちの態度に感謝しながら。


「そうだよ ユウナんはスピラを救った、大・大召喚士サマなんだからさー
 もっとジャンジャン我がまま言ったっていいんだよ」

シドの近くで飛空艇の航路チェックをしていたらしいリュックも
両手を振り回しながら近寄ってきた。

「それからね 今、おやじから聞いたんだけど、『シン』がいなくなってから
 なんか魔物の数が減ってきてるんだって
 まだ全然いなくなるって訳にはいかないみたいだけどさ」

「ホント?」

リュックの話にユウナは嬉しそうに両手を合わせる。

「もー こんなことでアタシがウソ言ってどうすんのー?」

瞬間、ユウナの動きが止まった。が、

すぐに儚げな笑みを浮かべながら、ユウナがささやく。

「きっと、ジェクトさんたちのおかげだね」

はっ、と続けようとしていた言葉を飲み込んで、リュックも頷いた。

「・・うん そ、だね・・・」

10年前、『シン』によってこの世界に呼び込まれ、現実となったジェクト。
そして、ユウナの父ブラスカとアーロンと共に旅し、
そのブラスカによって究極召喚獣となった。
自分を呼び込んだのであろう『シン』を自らの手で倒し、
逃れ得ぬ運命として、新たな『シン』となってしまった、ジェクト。
今のこの平和は、自分たちだけの力で勝ち取ったものではない。
10年前のあの時からきっと始まっていたのだ。

いや、もしかしたらもっとずっと以前から・・・。

ジェクトから繋がるべき、最後の螺旋を築きあげるために。

そして・・・・・・。


ユウナも、他の誰も、その続きを口にできなかった。



すべてが、彼に繋がってしまうのだから・・・・。







To be continued.


<<冒頭:“イフリート”>>


■作者からのメッセージ
やっと、四作目で仲間たちが活躍(?)できました。この話と次の五話目もひとつにまとめても良かったんですけど、なんとなく分かれちゃいました。
「心の旅」っていうテーマは、すごくストレスたまるっす・・・。ふぅ。

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