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〜 FF NOVEL <FFX> 〜
by テオ


祈りのしずく 【FFX After Ending Story】 Side 2

〜〜 ユウナ 心の旅 〜〜





Side 2  【 黎  明 】






∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞





あたしたちは何故気付かなかった・・・・・


夢を終わらせること・・・・・


何故スピラに留まろうとしたのだろう・・・・・


長い時の中であたしたちは忘れていた・・・・・


前に進むことを忘れ・・・・・


変わることを忘れていた・・・・・





∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞







ルカでのいつまで続くのかわからない、永遠のナギ節の祝祭の最中(さなか)。

それは、ユウナの思いつめたような一言から始まった。


「リュック お願いがあるんだ・・」

「ん? なに? ユウナの頼みなら、な〜んだって聞いちゃうよぉ」
かなりオーバーにはしゃぎながらリュックは答える。


ここは、ルカスタジアムのオーラカ控え室の中。
オーラカのメンバーたちはビサイドに帰っていて、
今はユウナとガードたちだけだった。

かつてはそこに共にいた二人を除いて。



「飛空艇に乗せてもらいたいの シドさんに頼んでくれないかな?」

何を言われるのかと気構えていたリュックは、
気が抜けたと言わんばかりに、両手を広げて肩を竦めた。

「なぁんだ そんなこと?」
そして、いつものちょっと気取ったポーズで
右手の人差し指をチッチッと口元で振りながら答えた。

「そんなのあったり前じゃん? おやじ このお祭りが一段落したら
 ちゃんとユウナをビサイドまで連れてくんだって張り切ってるよ?」
すると、少し困ったような表情で、ユウナがサラサラと髪を揺らした。


「ううん 違うの 行きたいのはザナルカンドなんだ・・・」



一瞬。



二人のやり取りを見守っていたガードたちの息が止まる。



最初に声を掛けたのはルールーだった。

「でも、ユウナ もう、あそこには何も・・・」
「うん わかってる でも、行って、確かめたいこと、あるんだ・・・」
ルールーの言葉を遮るように、ユウナが言い募った。
強い決意を込めた瞳で。

ルールーでさえも声を失い、ワッカと顔を見合わせた。


リュックは「どーしよー」と、呟きながらうろうろ歩き回っている。


キマリは、何も言わない。
いつものように腕組みをしながら、ただジッとユウナを見つめている。


「ダメ、かな?」

不安げに小首をかしげたユウナにそんな風に言われて、
ダメだと言えるはずもない。


スピラ中が喜びに溢れている、今。

その中心にいるはずの少女の、笑顔に隠した本当の心を
ここにいる者だけは、知っていたから・・・。


「もっと、辛くなるかもしれないぞ・・・」
沈黙に耐えられず、ワッカがらしくなく、ためらいがちに言った。


「・・うん 解ってる
 ありがとう、ワッカさん 心配してくれて・・・」
ワッカを見上げながら、ユウナが微笑む。


見る者の胸を締め付けるような、儚(はかな)い微笑み・・・・。


「でも、それでも・・・」
ユウナは、そこで叫ぶように言葉を消した。


だが、皆にはその続きが、ユウナの心の声が、

聞こえたような気がした。


今にも倒れそうなくらいに気を張り詰め続けているユウナに

それ以上、否定の言葉を紡げる者はいなかった。


そして、確かめたいものとは何なのかということも・・・・・。





To be continued.




<<冒頭:“メーガス三姉妹”>>


■作者からのメッセージ
なんだか、この壁紙読みにくいような気が・・・。う〜〜ん。

この話には、大きなテーマが2つとキーワードが2つあります。
最初の設定段階で決めたんですけど、これが自分の首を絞めること絞めること・・・。
なかなか書き進められなくって。


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