挑 戦
【FFVII】 真夜中の深い森をやっと抜けて、クラウドの駆るバイクは月明かりに照らされる荒野へと轟音を響かせて進む。 ――― と。 なにやら不穏な気配を感じ、クラウドはバイクに急遽ブレーキをかけた。 キキィーっと甲高い金属音の悲鳴を上げながら、地面に長い跡を残してバイクが停止する。 『なんだ?』 止まった途端に重さを増すバイクを片足で支えながら、クラウドはあたりへと注意深く目線を流した。気配は確かにある。だが、すぐ傍に何かがいる様子はない。 ゆっくりとバイクを降り、クラウドは気配の元を辿ってみることにした。 一歩、二歩と歩くたびに、気配 ―― いや、むしろ視線といった方がいいような ―― も後を追ってきているようだ。 『なんだっていうんだ、この気配は…』 一際強い視線を感じ、クラウドはギクリとして飛びずさった。立て続けに攻撃的な気配、視線が襲いかかる。 そういえば、今までにもよく感じていたと、思い起こす。 肌に突き刺さるほどの強い凝視というような…。 耐え切れぬ苛立ちを感じ、それらから逃れるために、クラウドが月の明かりの真下へと大剣を抜き放ち、ジャンプする。 「くっ!」 ![]() 華麗なるジャンプを披露して、着地後すぐに大剣を構え直し、戦闘体勢を整えて彼は怒鳴った。 「誰だっ! 出てこいっ!」 しかし、返事はない。 それなのに感じる視線はどんどん増えてきている。いったいどれだけ増幅していくのか…。 ジリジリと時が過ぎていく。 『な、なんだ、この数は……』 今ではもう、無数ともいえるほどの視線、視線、視線。 なんだか、念というか、強い呪いのようにも感じられる波長まで送られてきているようだった。 クラウドは心底、震撼した。 『これは、俺が一人で太刀打ちできるような相手じゃない』 己の主義に反しても、ここは逃げの一手に限る、と判断した。 急いで、先ほど乗り捨てたばかりのバイクに跨り、エンジンをかける。視線はそれでも身体中に纏わりついていた。 木に絡みつく弦のように。 そう、いつか見た、あのライフストリームのように……。 バイクをスタートさせた、その瞬間、クラウドにはその敵 ―― いや、正確には敵ではない ―― の正体が解った。 最も頼もしくて、最も恐れるべき、その正体が。 軽快に走り出したバイクの震動の中、クラウド自身もそれに負けないくらい震えていた。 『俺のせいじゃない…俺のせいじゃない……』 スピードを上げても上げても、なおも構わず増え続けるそれらに、ついにクラウドは絶叫していた。 「ACの発売が遅れてるのは、俺のせいじゃないんだーーー!!!」 <えんど> Novel by テオ
Illustration by neo様
2005.1.15〜2005.3.31 《 Novel & Illustration collaboration 》 -ノベイラコラボ- 初出
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○あとがき○ |