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<<マリ☆フェス>>

「黄金色のさざ波に」
― 後 編 ―

【FF8】エル・スコ






 時





思い出の時


子供の頃の


その感触


その時の言葉


その時の気持ち


大人になっていくにつれ


何かを残して 何かを捨てていく


時は 待ってくれない


にぎりしめても


ひらいた刹那に 離れていく





でも‥‥‥












   〜 Tears of time 〜












おねえちゃんを探すんだー!!


おねえちゃん、いないよ…。 僕、ひとりぼっち?


おねえちゃん、どこへ行っちゃったの?





エルおねえちゃん‥‥。





僕、ひとりでも、強く生きていくよ。


そうしたら、きっと、また会えるよね?


その日のために、僕、強くなるよ。


もう、泣いたり、わがまま言ったりしないから。


おねえちゃんを、困らせたりしないから。


強くなって、今度は僕が、おねえちゃんを守るから。


もう、おねえちゃんを、誰にも渡したりしないから。


だから、いつかきっと、


いつか、いっしょに‥‥













:☆;。* * ・:☆;。* * ・:☆;。* * ・:☆;。* * ・:☆;。



<<マリ☆フェス>> (マリッジ☆フェスティバル)



        黄 金 色(きんいろ) の さ ざ 波 に


            ( 後 編 )  【FF8】(エル*スコ)



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「全部、話しておきたんだ。」





静かな風とさざ波が、どこか寂しげな音色を奏でている。



彼は、大海原を見つめたまま、

あたしの右手を、温かな左手で包んだまま、

潮の息吹に髪をサラサラと揺らしたまま、

あいかわらずのクールな表情のまま、

静かな、風のような声で語り始めた。



「俺は、ずっと‥‥ずっと、

 エル‥‥いや、アンタのことを、

 ずっと、想っていたんだ。

 アンタが居なくなってから、ずっと‥‥。」



クールな横顔に、少しだけ、紅いほてりが見える。

あたしの右手を包む彼の左手が熱い。

たぶん、あたしの右手だって熱くなってるはずだけど‥‥。



あたしは、激しく高鳴る胸を左手でおさえて、

彼の横顔に微笑みをかける。

それは、たぶん、きっと、ぎこちない微笑みで。



「エル、でいいよ。」



「‥‥ああ‥‥。」





アンタと呼ばれることに抵抗があったわけではないけど、

「エル」って呼ばれるのは、すごく嬉しかった。

もっと「エル」って呼んでほしい。

もう、エルおねえちゃん、なんて呼び方、しなくていいよ。

あたし、もうお姉ちゃんぶるの、やめる。

あなたはもう、素敵な男性だもの。



そんなあたしの想いに、

彼の言葉は意外だった。



「‥‥エル‥‥。 俺は、

 エルが、エルおねえちゃんだってこと、分かって、

 その後、ずっと、

 一緒に居たい、いろいろ話したいって、

 ずっと、思ってたんだ。

 正直言ったら、俺、

 甘えたいのかもしれない‥‥。

 でも、俺も、こんな歳になったからな‥‥。」



彼の横顔はあまり変わらないが、

心の中で苦笑しているような語り口だった。



甘えてもいいのよ。

あたしは今でも、あなたのことが可愛いもの。

甘えてもいいのよ。

そう言いたくて、言えなくて。

あたしは、加速する全身の熱い鼓動をおさえるのに精一杯で、

何も言えないまま、次の言葉を待っていた。

すると、言葉の前に、

彼はあたしを引き寄せ、

つないでいない右手のほうを、あたしの小さな左肩に乗せた。



「でも、俺が、エルを守りたいって気持ちは、変わらない。

 もう、エルを、誰にも、渡したりなんかしない。

 ずっと、ずっと、守りたい。

 そういう気持ちは、変わっていないよ。」



引き締まった顔で、凛々しい瞳で、彼はあたしを見つめる。

その瞳は、どこか優しげで‥‥。

彼の言葉も、ぶっきらぼうだけど、どこか優しげで‥‥。



あたしを、守る? ずっと、守る?

それって、あたしがもう、連れていかれないように?

弟として? それとも‥‥

ああ、なんだか頭の中が、

熱くて、クラクラして、分からない‥‥。

胸が今にも爆発しそうで、苦しい‥‥。



「‥‥あ、あたし、嬉しいよ! でも、

 もう、おねえちゃんを守るとか、

 そういうの、もう、無しでいいじゃない!

 あたしのことは、誰かが守ればいいし、

 あなたは、もう、おねえちゃんなんかから離れて、

 誰か、他の女の子と‥‥

 そうよ! リノアちゃんは? あの子はどうしたの?!」



ずっと、訊くのが怖かったことなのに、

気が動転していたあたしは、そんなことを言ってしまった。

心の中が、揺れて揺れて、

全身が、震えて、熱くて‥‥。



でも、彼は、あいかわらずのクールな表情を変えずに、

でも、優しい声で、ささやいた。

震えるあたしを温かく包み、抱きしめて‥‥。



「‥‥リノアは、今も大切な友達だ。

 あいつは、俺の気持ちを、よく分かってくれている。

 俺に、エルのところへ行けって、背中を押してくれたんだ。

 ‥‥エルには、誰かが、居るのか?

 守ってくれる、誰かって、俺より強いのか?」



凛々しくて、優しい瞳が、ほんの十数cm前にあり、

あたしの瞳を静かにとらえている。

あたしは震えながら小さく首を振った。



「‥‥そんな人、いるわけ、ないじゃない‥‥。」



視界が潤んで霞み、彼の瞳が見えない。

あたしは、おもむろに彼の服に顔を押し付けた。

あたしも両腕を彼の広い背中に回した。

激しく熱く高鳴り続ける胸を、彼の胸板におしつける。

この気持ちが、伝わればいいな、と思いつつ。



それ以上、言葉が出なくて、

ただただ咽び泣くあたし。

その震えた小さな背中を、

彼はそっとさすってくれた。





彼は、孤児院の廃家へ振り返った。



「‥‥あの孤児院、少し改築すれば、

 まだまだ住めそうなんだ。

 実はこの間、 ここは思い出の場所だから、

 みんなで、改築しようって話が出て‥‥。

 俺と、ゼルと、アーヴァインと、サイファーで、

 改築することになったんだ。

 キスティスとセルフィも手伝いに来てくれる。

 リノアもな。」



「‥‥あたしも‥‥手伝うね。」



「ああ、そうだな。 

 やっぱり、ここに住むヤツが手伝わないと、

 まずいだろうな。」



「‥‥?‥‥あたしが、ここに住むの?」



意味がつかめないあたし。

呆然としているあたしに、

彼はこの日初めて、微笑んだ。




「ここに住むのは、

 俺とエルの、2人だけだ。」

























頭が、真っ白になった。

呆然としているあたしに、彼はまた微笑む。



「もちろん、孤児同士とか、姉弟としてとかでもない。

 ‥‥‥‥夫婦として、だ。

 ‥‥もっとも、子供ができれば、

 2人だけ、ではなくなるけどな。」



再び頭の中が沸騰していく。

全身を熱い躍動が駆け巡る。

嬉しい‥‥。

ちょっと驚いた、すごく驚いたけど、

夫婦だなんて、

つまり、そういうことなの?

ずっと、あたしを守っていきたいって‥‥



「なに驚いてるんだよ。

 遠回しすぎたか?

 悪いが、言葉で伝えるの、苦手なんでね。」



そう言って、彼は‥‥

彼の顔が、あたしに近づく。

あたしの口に、熱くて優しい感触が‥‥。

彼の、唇‥‥。

あたしはゆっくり瞳を閉じ、

彼に体をあずけた。












   可愛いエル‥‥大好きだよ。

   結婚しよう。

















どれだけ時が経ったのだろう。

実際は、たいした時間は経っていないかもしれないけど、

長い長い時間、抱き合っていたような気がする。

彼とあたしは、再び手をとり、大海原を見つめた。



太陽は西の空へと傾いたが、

見渡す限りの海原の穏やかなさざ波は変わらない。

降りそそぐ温かな陽射しは、

陽が傾いたことにより、さらに大きく水面へ黄金色の星々を広げている。










時は いつまでも続いていく


どんな星たちの炎も関係なく


どんな人々のぶつかりあいも関係なく


大きく 大きく 全てを包み込んで 続いていく


果てしない宇宙(おおぞら)に生まれた吐息のように


この 黄金色のさざ波のように





この大いなる流れの中では


あなたとあたしの年齢差なんて


きっと とっても ちっぽけなものなんだよね


でも そのちっぽけなものに


あたしは迷い 揺れて


でも そのちっぽけなものが


大切なものにも思えて‥‥


あたしは あなたが大好きよ


ずっと ずっと 愛してる







揺れて 揺れて


揺れながら 人は何かを失い


何かを残していく


年表に刻まれた出来事なんて いつか忘れ去られてしまうかもしれないけど


命はずっと 続いていく 続いていってほしい


誰もがそう願っているはずで


彼らや彼女らのように 命を脅かすものと闘う者もいるわけで


揺れながらも きっと ずっと 続いていく





あたしも 命を (つむ)いでいきたい


あなたとあたしの子供は どう育っていくのかしら


子供が結婚して その子供が生まれて 結婚して‥‥


ふふふ 先のことまで考え過ぎかしら


まだ あたし達 式もあげてないのにね












「‥‥みんな忙しいから、改築には半年ぐらいかかると思う。

 まあ、遅くても、俺達の子供が生まれる頃には出来るだろう。

 改築は気長に待つしかないな。」



真面目な顔をしてそう言う彼に、

あたしは思わずクスクスと笑ってしまう。



「先のこと、考え過ぎよ。ふふっ。

 そんなに早く子供がほしいの?」



「‥‥まあな‥‥。」



彼の横顔が、今日一番の紅いほてりを見せる。



「実は、あの孤児院はもう、水回りだけは、修理済なんだ。

 風呂と‥‥寝床は‥‥きれいになっている‥‥。」



「はいはい。」



あたしは笑いながらそう言って、

海の向こうの遠い水平線に目を向けた。

霞の中で、とけあう空と海‥‥。



人と人は皆、永遠の平行線、

交差することなき平行線、なのかもしれない、けど、

平行線も、

近づき合えば、1本の線、だよね。

時には波のように揺れてしまうことも、あるかもしれないけど‥‥。

とにかく‥‥







     幸せになろうね。















( E N D )



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Copyright (c) 2002 HARUKA


■あとがき■
 結局、最後まで「スコール」と「エルオーネ」という名前を出さない形にしました。「エル」は出てますが‥‥前回の最後にスコールが「アンタ」ではなく「エル」と言っていたのは、皆さん、覚えていらっしゃるのでせうか‥‥。 エルオーネ好きの男性の皆様は「彼」とか「あなた」を自分の名前に置き換えて読んでみることをオススメします(微笑)。

 どんでん返しでスコールがリノアと結婚する報告を姉のエルオーネへ、という展開も考えてはいたのですが、やっぱりこのスコール&エルオーネをくっつける話が書きたくて、こうなりました。 それにしても、スコール君、用意周到です。計画的です(笑)。なんだかんだ言ってもエルオーネは「早く子供がほしいの?」「はいはい。」と言ってしまうあたりがお姉さんっぽいし(爆)。 この後の展開はここでは書けそうもないので、皆さんご自由に妄想してあげてください(え…)。

 ちょっと解説のコーナー! 語ってもよろしいですかな?
 冒頭の部分はFF8のラスボスが戦闘中に残す言葉をアレンジしたものです。どこかで聞いたことがあるような‥‥って思った方もいらっしゃるでしょうか。
 「黄金色のさざ波に」というのは、最近私がはまっているΖガンダムの主題歌(後半期)の、森口博子さんが歌う「水の星へ愛をこめて」から拝借させていただいた言葉です。 「時という金色のさざ波は、宇宙(おおぞら)の唇に生まれた吐息ね〜」‥‥森口さんのベストアルバムに入ってます。すごく綺麗な曲ですよ〜。
 設定上のことなんですが、あえて書いていなかったんですけど、おそらくED後の世界の、数年後だと思われます。 スコールは20歳ぐらいで、エルオーネが25歳ぐらい。(実は、何歳離れてるんだか分かりません…) 結婚適齢期(ですか?)のエルオーネが、誰かに取られてしまわないか、スコールは心配だったのではないかと…。 一応、エルオーネはエスタ国で国家公務員(?)としてラグナさんの近くで仕事してる、ような感じです。 大統領と不適切な関係になったかどうかは分かりません(笑)。 おそらくラグナさんはレインさんのことを今も思っていて、独身を通すのではないかと…。



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