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ねえ あいかわらずね そのクールな表情 傷ついたりしないかのような… 落ち込んだりしないかのような… こんなこと しちゃおうかな? ぎゅっと やさしく あなたをつねるの しかめっつらをしたら あなたが夢を見ていないってこと 分かるの ‥‥ Eyes on me ‥‥ あたしの瞳に 映っているあなた とっても とっても 凛々しくて そばにいると 心強くて いとしくて せつなくて… あなたの瞳に あたしはどう映ってるの? あなたは あんなに小さかったのに 今では あたしよりずっと背高くなって でも やっぱり あたしは今でも おねえちゃん? それとも、 もう、あたしのことなんて‥‥ :☆;。* * ・:☆;。* * ・:☆;。* * ・:☆;。* * ・:☆;。 <<マリ☆フェス>> 黄 金 色 ( 前 編 ) 【FF8】(エル*スコ) :☆;。* * ・:☆;。* * ・:☆;。* * ・:☆;。* * ・:☆;。 「‥‥ここに来るのも、久しぶりだな。」 「そうね。」 「アンタとここで話すのも、久しぶり、か。」 「うん‥‥。」 海 あたし達以外 誰も居ない海 思い出の海 あたし達の育った 孤児院のそば 時は 十数年 たったのに 変わることのない 黄金色の海 空に そっと 風が舞う すべてをすいこむような 蒼 波は 絶え間なく打ち寄せる すべてを引きよせるような 綾 深く 深く 透きとおる碧に しみこんでいく 空の蒼 あたたかく やわらかく ふりそそぐ陽射しは 碧と 蒼と 綾織る波に 黄金色の星を散りばめる 輝きながら しずかに やさしく 打ち寄せる シルクのような 白い砂浜に 微かに ほのかに 潮の香り 遠く 遠く 遥かに遠い 霞の中の 地平線 海の果て 空の果て 霞にとけあう 海と空 あたしとあなたは 平行線 とけあうことなき 平行線 こんなに近くに あなたは居るのに… こんなに近くに あなたが居るのに… 「なあ。‥‥アイツは、元気にしてるのか?」 唐突な問いが彼の口元からこぼれた。 彼があたしに言う「アイツ」なる人物は、いつもあの人のこと。 「んー‥‥そうね。 ラグナさんは、あいかわらずよ。 あいかわらず、いつも忙しそうだけど、 バリバリ元気にやってるわよ。」 あたしは、少し微笑みながらそう言った。 彼は、海原を見つめたまま、 あいかわらずの、クールな表情。 「‥‥そうか。 なら、いいんだ。」 再び口をつぐむ彼。 海原を見つめつづける、彼の横顔は変わらない。 海原のむこうに 何を見ているの? 彼の気持ちが見えない。 ラグナさんのことが心配で、あたしを呼んだの? 違うよね? だって、いつもラグナさんのことは、 あたし、メールで何度も書いているもの。 あたしに、相談事? ラグナさんとのことで、かな? それとも、リノアちゃんとのこと? だったら、つらいなぁ‥‥。 でも、おねえちゃんは優し〜から、 可愛いあなたのためならば、 恋の相談だって一肌脱いじゃうよ。 あ、やだ、脱ぐだなんて、恥ずかしい‥‥。 でも‥‥ふふっ。 あなたはもう覚えていないかしら。 幼い頃は、よく一緒にお風呂、入ったんだよね。 「なに浮かれた顔してんだよ。」 「えっ?! アハッ。 なんでもないなんでもない!」 慌てふためくあたしを横目に見つつ、 彼は、砂を蹴り、溜め息をつく。 「アンタはそうやって、いつまでも俺のこと、 小さい子供みたいに見てるんだよな。」 「‥‥‥。」 返す言葉を探すあたし。 でも、なんて言ったらいいんだろう。 彼のクールな横顔が、何故だか寂しげに見える。 あたしも寂しい気持ちになっていく。 彼は切れ長な瞳を閉じて、うつむく。 「仕方がないか。 アンタは俺が幼い頃、 よく俺の面倒みてくれたんだものな。 ああ、分かってるさ。 俺はアンタにとって、 弟みたいなものでしかないんだろ。 だけど、俺はな、もうガキじゃないんだよ。」 何かが外れたかのように次々と言葉を放って、 彼は再び、口をつぐむ。 彼は再び、海原に目を向ける。 沈黙が降り、波の音だけが流れる。 あたしの体は、静かに、弱く、震えている。 凍りついた胸の裏側で、戸惑いと後悔が交差する。 あたしはずっと、あなたに嫌な思いをさせてたの? あたし、もう、あなたから、離れたほうがいいの? 訊けないよ、そんなこと。 あたしは、返す言葉が見つからないまま、 いつしか、 両の瞳を熱く潤ませていた。 「ごめんね‥‥。」 小さな、ほんの小さな声でしか言えなかった。 でも、 彼は意外にも慌てた顔をして振り返った。 「な、なんだよ? 泣くことないだろ? 俺は、別に、その‥‥」 何かを言いたげで、言えずにいる彼。 あたしも、何も言えずにいた。 言いたいこと、伝えたい思いはいっぱいあるのに、 何も言えずにいる自分の口下手さが恨めしい。 彼も、また、何も言えずにいる。 口下手なところは、あたしに似たのかな。 あなたは今、何を言おうとしているの? あなたの気持ちが、見えない。 あたしは確かに、あなたのこと、弟みたいに思ってた。 悪かったと思ってるよ。 だから、そんな、心配そうな目なんてしなくていいよ。 「俺は‥‥」 何かを言おうと、彼の顔は引き締まった。 何? 何を言おうとしているの? 何故だか、あたしの胸は高鳴る。 彼は、 彼の左手は、 おもむろに、あたしの右手を掴み、包んだ。 温かい、大きな手‥‥。 でも、何か、なつかしい‥‥ そう。 幼い頃、よく、手をつないだね。 左手で涙を拭う。 霞む視界の中で、 あなたはやっぱり、あいかわらずのクールな表情。 でも、 その口から囁かれた言葉は、 ふりそそぐ黄金色の陽射しよりも温かかった。 「‥‥俺は、アンタにいつか、会えると信じて、 1人でも、強く生きていこうって、思って、 がんばってきたんだ。 泣いてばかりで、アンタに甘えてばかりの俺だったけど、 おかげで、強くなって、生き抜いてこれた‥‥。 感謝、している‥‥。 アンタは、俺の、光だよ‥‥。」 静かに、緩やかに語りながら、 彼は海原にゆっくり振り返る。 あたしも、海原を見つめる。 ドクン、ドクン、ドクン、ドクン‥‥ 胸が熱く高鳴っている。 体中が、熱く高鳴っている。 つないだ手から、伝わっていそうで、恥ずかしい。 でも、止められない、この想い‥‥。 打ち明けたい、この想い‥‥。 でも‥‥ 彷徨うあたしの、小さな心。 あなたは、ひょっとして、気付いているの? あなたはそっと、再び、温かな声で囁いた。 「‥‥話したいことが、あるんだ、 エル‥‥。」 ( 後 編 に つ づ く ) :☆;。* * ・:☆;。* * ・:☆;。* * ・:☆;。* * ・:☆;。 Copyright (c) 2002 HARUKA
■あとがき■ |